デザインを学び始めたものの、「なんとなく作っているけれど、どこか素人くさい」「プロのデザインと何が違うのか説明できない」と悩んでいませんか?
グラフィックデザインにおいて、レイアウトや文字組みは「センス」ではなく「論理(ロジック)」で構成されています。また、クライアントに納得してもらうためには、自分の意図を「言語化」する力も欠かせません。
本記事では、デザイン力を劇的に向上させる勉強法と、プロが現場で使うテクニックを徹底解説します。
1. デザイン力を「知識」から「知恵」に変える方法
デザインの知識をどれだけ本やSNSで集めても、それだけでは「デザイン力がついた」とは言えません。
インプットだけで終わらせない
多くの人が陥る罠が、デザイン本を読んで満足してしまうことです。しかし、デザイン力とは「知識」ではなく「経験からくる知恵」です。
- 知識: 本や動画で学ぶ(基礎理論)。
- 実践: 実際に手を動かして作る(アウトプット)。
- 反応: 人に見せて、そのリアクションを知る(フィードバック)。
この3ステップを繰り返すことで、初めて知識が「使いこなせる知恵」へと変換されます。
最初は「身近な人」をターゲットにする
最初から不特定多数に向けたデザインを作るのはハードルが高いものです。まずは家族や友人、バイト先の知人など、顔が見える相手のためにデザインを提案してみましょう。
- 父親の会社の名刺をリデザインする
- サークルの新歓チラシを作る
- 知人のカフェのメニュー表を改善する
「相手が喜んでくれたか、それとも反応が薄かったか」を直接知ることが、最も効率的なデザインの筋トレになります。
2. レイアウトと文字組みを劇的に改善する「比較と言語化」
「プロのデザインはなぜ美しいのか」を説明できるようになることが、上達への最短距離です。
プロのデザインを徹底的に「言語化」する
まずは、優れたチラシやフライヤーを用意し、以下の5つのポイントをあなたの言葉で書き出してみましょう。
- 目的の明確化: なぜこのデザインは存在しているのか?(新規オープン告知、商品購入など)
- サイズ(メリハリ): なぜこれが大きく、あれが小さいのか?
- グルーピング: どの情報とどの情報が仲間としてまとめられているか?
- フォントの選抜: なぜその書体(ゴシック、明朝など)なのか?
- 色と装飾: なぜその色が選ばれ、そのイラストが入っているのか?
「横並び比較」で見えてくる差
自分の作ったデザインと、プロが作った同じジャンルのデザインを、Illustratorなどの上で横に並べてみてください。 「プロの余白は自分より5mm広い」「自分の文字組みはプロより行間が詰まっている」といった、具体的な「差」に気づくはずです。この差を言葉にすることが、レイアウト力を磨く訓練になります。
3. 語彙力と言語化力を鍛える「アウトプット訓練」
デザイナーにとって、語彙力は「提案力」に直結します。
「適度な緊張感」の中で発信する
語彙力を鍛えるのにおすすめなのが、読んだ本の感想や、街で見かけた良いデザインについての気づきを、SNSやブログで発信することです。 身近な友達と話す時とは違い、世の中に公開するという「適度な緊張感」が、言葉を選び、思考を整理するきっかけを与えてくれます。1日1回でも「自分の考えを言葉にして外に出す」習慣を持つと、クライアントへの説明力が格段に向上します。
4. チラシ作成における「正しい手順」
チラシ作りで迷走しないための、プロが実践する5つのステップです。
- 目的(ゴール)を決める: 「店の雰囲気」を伝えたいのか、「商品の詳細」を知ってほしいのか。目的がブレるとレイアウトは崩れます。
- 主役(プライマリー要素)を決める: 一番目立たせるのは写真か、キャッチコピーか。主役が決まれば、視線の誘導がスムーズになります。
- グルーピング(近接): 関連する情報を近づけます。例えば「住所・電話番号・営業時間」は1つの塊として認識させます。
- サイズの対比: 重要な情報は大胆に大きく、補足情報は思い切って小さくします。
- 整列と余白: 最後に要素の端を揃え、適切な余白(マージン)を確保することで、情報の可読性が一気に高まります。
5. プロが推奨するデザイン参考本とリサーチ術
ネット検索も便利ですが、プロがリサーチに使うのは圧倒的に「紙の書籍」です。
なぜネットより本なのか
デザイン書籍は、出版社の編集者が「作り手にとって役立つように」情報を精査し、カテゴリ分けしてくれています。 特におすすめなのが、パイ インターナショナルから出版されているレイアウトシリーズです。「クールなデザイン」「ナチュラルなデザイン」といったテイスト別にプロの事例がまとめられており、資料としての信頼性が非常に高いです。
雑誌を「作り手視点」でパラパラめくる
ターゲット層が重なる雑誌をめくる際、内容を読むのではなく「レイアウトの骨格」だけを見てください。「ここで写真が飛び出しているな」「このタイトルは明朝体で情緒を伝えているな」と、意識して見るだけで、身近な雑誌が最高の教科書に変わります。
6. 【付加知識】デザインを深くするための「おもしろ雑学」
① 「文字組み」は「空気」を組むこと
一流のデザイナーは「文字」を置くだけでなく、その周りの「余白(空気)」をデザインしていると言います。文字と文字の間(カーニング)を数ミリ変えるだけで、そのデザインが持つ「温度感」が変わります。高級なブランドほど余白を贅沢に使い、お得感を出すスーパーのチラシほど情報を密集させるというセオリーがあります。
② 色の「ユニバーサルデザイン」
現代のデザインでは、色の見え方が異なる人(色覚多様性)への配慮が不可欠です。色だけで情報を分けるのではなく、テクスチャや文字を併用することで、より多くの人に正確な情報を伝えることができます。これはSEOの観点でも「アクセシビリティ(使いやすさ)」の向上として高く評価されます。
③ 黄金比と白銀比の使い分け
欧米では「1:1.618」の黄金比が好まれますが、日本では「1:1.414(1:√2)」の白銀比(大和比)が伝統的に好まれます。コピー用紙のA判・B判もこの白銀比です。日本人の感覚にスッと馴染むデザインを作りたい時は、あえて白銀比を意識してみるのも面白いテクニックです。
まとめ:デザインは「人を喜ばせるためのコミュニケーション」
グラフィックデザインの正解は1つではありませんが、共通しているのは「誰かに何かを伝え、喜んでもらう」という目的があることです。 ロジカルなレイアウト、感情を揺さぶる文字組み、そして納得感を生む言語化。これらを日々の「筋トレ」として継続することで、あなたのデザインは確実に進化します。
まずは今日、身近にあるプロのデザインを1枚、あなたの言葉で分解してみることから始めてみましょう。

