「なんとなくフォントを選んでいるけれど、自分のデザインが垢抜けない……」 「明朝体とゴシック体、結局どっちを使えばいいの?」
資料作成やブログ、SNSの画像作りで、誰もが一度はぶつかるのが「フォント選び」の壁です。実は、世の中に数え切れないほどあるフォントも、大きく分ければ**「基本の4書体」**に分類されます。
この4つの特徴と使い分けさえマスターすれば、非デザイナーの方でも、プロのような「伝わるデザイン」を形にできるようになります。今回は、デザインの基礎である「基本4書体」の正体と、その効果的な活用術をプロの視点で徹底解説します。
1. 日本語デザインの要「明朝体」と「ゴシック体」
日本語のデザインにおいて、まず押さえるべきは「明朝体」と「ゴシック体」の2つです。これらは、私たちが日常的に教科書やニュースで見かける、最も親しみのある書体です。
① 明朝体(みんちょうたい):信頼と上品さの象徴
明朝体は、横線が細く、縦線が太いのが特徴です。また、線の端に「ウロコ」と呼ばれる飾りがあるのがポイントです。
- 与える印象: 伝統的、繊細、上品、知的、和風、大人っぽい
- 得意なシーン:
- 高級感を出したいブランドのロゴやパンフレット
- 長文の読み物(文庫本や新聞など、目が疲れにくい)
- 信頼感や権威性を示したい公式な文書
- プロのヒント: 雑誌『VERY』などのハイエンドな女性誌では、タイトルの大きな見出しに明朝体を使うことで、読者層に合わせた「凛とした美しさ」や「上質な暮らし」を演出しています。
② ゴシック体:親しみやすさと視認性の王様
ゴシック体は、線の太さがほぼ均一で、飾りがないシンプルな書体です。
- 与える印象: モダン、カジュアル、元気、力強い、親しみやすい
- 得意なシーン:
- スマホやPCの画面(デジタルデバイスで読みやすい)
- インパクトを重視する広告のキャッチコピー
- 看板やスライド資料の見出し
- プロのヒント: 現在、Webサイトやアプリの標準フォント(iPhoneの「ヒラギノ角ゴ」など)の多くはゴシック体です。情報の「伝わりやすさ」を最優先する場合、まずはゴシック体を選択するのが定石です。
2. 英語(欧文)デザインを格上げする「セリフ」と「サンセリフ」
英語のフォントも、日本語の明朝・ゴシックと同様の役割を持つ2つのグループに分けられます。
③ セリフ体(Serif):格式高い伝統美
「セリフ」とは、文字の端にある小さな飾りのことです。日本語の「明朝体」に相当します。
- 与える印象: 伝統的、エレガント、格式高い、クラシック
- 活用例: 自分の名刺をセリフ体にするだけで、一気に「高級ブランド」のような格式高い雰囲気になります。欧米の老舗ホテルのロゴなどでよく見かけます。
④ サンセリフ体(Sans-serif):現代的でスマート
「サン(Sans)」とはフランス語で「~がない」という意味。つまり、飾りのない書体のことです。日本語の「ゴシック体」に相当します。
- 与える印象: 現代的、合理的、デジタル、スポーティー
- 活用例: IT企業のロゴや、最新のスタートアップの資料。とにかく「新しさ」や「スピード感」を出したい時に最適です。
3. なぜ使い分けが重要なのか?フォントが持つ「心理的効果」
フォントを変えるだけで、同じ文章でも受け取り側の印象はガラリと変わります。
例えば、美容室のサイトを想像してみてください。
- 明朝体: 「落ち着いた空間で、大人の女性向けの高級サロン」という印象。
- ゴシック体: 「明るいスタッフが迎えてくれる、リーズナブルで入りやすいサロン」という印象。
もしターゲットが「30代の自分へのご褒美を求める女性」なら、明朝体を選ぶべきです。逆に、ターゲットとフォントがズレてしまうと、どれだけ内容が良くても「なんとなく違和感がある」と、読者は離脱してしまいます。
4. 【付加知識】フォントを使いこなすための「面白トリビア」
ここでは、動画の内容をさらに深掘りし、デザインをより楽しくする知識を付け加えます。
「セリフ」のルーツは古代ローマの彫刻!?
セリフ体にあるあの小さな飾り。実は、古代ローマの石碑に文字を刻む際、ノミの跡をきれいに整えるために生まれたという説が有力です。歴史が非常に古いため、私たちはセリフ体を見ると無意識に「歴史」や「重み」を感じるのです。
フォント選びの「禁じ手」:多すぎはNG
初心者がやってしまいがちな失敗が、1つのデザインに多くのフォントを混ぜてしまうこと。プロは基本的に**「1つのデザインにフォントは2種類まで(日本語1種+英語1種など)」**に絞ります。基本4書体の中から相性の良いペア(例:見出しはゴシック、本文は明朝)を選ぶのが、美しく見せる最短ルートです。
「ユニバーサルデザイン(UD)フォント」の存在
最近では、読み間違えを防ぐために設計された「UDフォント」も注目されています。例えば、「3」と「8」、「1」と「I(アイ)」などの区別がつきやすくなっています。不特定多数の人が見るプレゼン資料などでは、基本4書体の中でもUDフォントを選ぶと、さらに親切なデザインになります。
5. まとめ:まずは「なりたいイメージ」から選ぼう
デザインにおけるフォント選びは、いわば「服選び」と同じです。
- フォーマルな場なら「明朝体・セリフ体」
- カジュアルな場なら「ゴシック体・サンセリフ体」
まずはこのシンプルなルールから始めてみてください。次に街中の看板や雑誌の表紙を見た時、「なぜこのフォントが使われているのか?」を意識するだけで、あなたのデザインセンスは格段に磨かれていきます。
明日からの資料作成やSNS投稿で、ぜひこの「基本4書体」の力を借りて、想いをより正確に届けてみましょう!

