【色彩設計の教科書】センス不要!デザインの「配色」を論理的に攻略する3ステップとプロの思考法

「なんとなくこの色にしてみたけれど、全体で見るとしっくりこない」 「色選びに時間がかかりすぎて、作業が全然進まない」

デザイン初心者から中級者まで、多くの人を悩ませるのが「配色」の壁です。色の組み合わせは無限に存在するため、指針がないまま選ぼうとすれば迷路に迷い込むのは当然と言えます。

実は、第一線で活躍するプロのデザイナーは「感性」だけで色を選んでいるわけではありません。そこには、誰でも再現可能な**「論理的な設計プロセス」**が存在します。

今回は、デザインのクオリティを劇的に引き上げる「配色設計の3ステップ」と、色が持つ心理的効果を最大限に引き出すための思考法を徹底解説します。


目次

1. 最初に決めるのは「具体的な色」ではない

多くの人がやりがちな失敗は、いきなり「好きな赤を使おう」「青系のバナーにしよう」と、個別の色から決めてしまうことです。しかし、配色において最も重要なのは、色そのものよりも**「そのデザインがどのような空気感を纏うべきか」という設計図(世界観)**です。

デザインの「ジャンル」と「色数」の関係性

まず最初に、作成するデザインの「目的」に合ったジャンルを設定しましょう。これにより、必然的に扱うべき「色の総数」が見えてきます。

  • 「賑やか・親しみ・活動的」なデザイン(例:セールチラシ、子供向けイベント)
    • 戦略: 色相(色の種類)を多めに設定。4〜5色程度のバラエティを持たせることで、視覚的なエネルギーを演出します。
  • 「洗練・信頼・高級感」なデザイン(例:士業のサイト、高級ブランド)
    • 戦略: 色数を極限まで絞り込む。2〜3色(同系色中心)で構成することで、落ち着きと調和を生み出します。

この段階では、ベースとなる紙の色(白など)や文字の色(黒など)はカウントせず、デザインの「表情」を作るカラーを何色用意するかだけに集中しましょう。


2. 配色を「機能」で分類する:3つの役割

世界観が決まったら、次に各色に**「役割(ロール)」**を与えます。色を単なる「飾り」ではなく、情報を伝えるための「機能」として捉えるのがプロの視点です。

① メイン・プレイヤー(テーマカラー):印象を決定づける主役

そのデザインを象徴する色です。

  • 考え方: 面積の広さに関わらず、「このデザインは何色か?」と聞かれたときに真っ先に浮かぶ色を選びます。
  • 選定基準: ブランドのコンセプトや、ターゲットに抱かせたい第一印象(例:誠実なら紺、情熱なら赤)から逆算します。

② サポーター(サブカラー):調和と奥行きを作る脇役

主役の色を引き立て、画面全体に馴染ませる役割です。

  • 考え方: 主役と「似たような性質(彩度や明度)」を持つ色を選ぶのが定石です。
  • 選定基準: 主役の類似色を選ぶと統一感が増し、主役の彩度を落とした色を選ぶと上品なまとまりが生まれます。

③ フォーカス・ポイント(アクセントカラー):視線を誘導するゲスト

ユーザーの視線を特定の場所(予約ボタン、重要事項など)へ導くための仕掛けです。

  • 考え方: 主役や脇役とは全く異なる性質の色を、ごく小さな面積で配置します。
  • 選定基準: 色相環で反対側に位置する「補色」の関係にある色を選ぶと、視覚的なインパクトが最大化されます。

3. 実践!色の「出番(配置)」を論理的に決める

役割が決まったら、いよいよキャンバスの上に色を配置していきます。ここでも「どこにどの色を置くか」にはルールがあります。

  • 背景・大面積: 主役(テーマカラー)や、それをさらに薄めた色を配置し、全体のトーンを支配させます。
  • タイトル・主要要素: 視認性の高い主役カラー、あるいは脇役カラーを使い、情報の優先順位を明確にします。
  • コンバージョン(行動)要素: ここにのみ、アクセントカラーを投入します。「ここをクリックしてほしい」という意図を、色の差異によって直感的に伝えます。

【付加知識】色の説得力を高める「文化」と「科学」の視点

ここからは、さらに一歩踏み込んだプロのテクニックを紹介します。これを知っておくだけで、あなたのデザインには「理論的な裏付け」が加わります。

「伝統色」が持つ情緒的価値

色を選ぶ際、単なるカラーピッカーの数値(#RGB)ではなく、「名前のある色」を意識してみてください。 例えば、日本の伝統色である「瓶覗(かめのぞき)」や、フランスの「ブルー・ド・フランス」など、歴史の中で磨かれてきた色には、人間が直感的に「心地よい」と感じるバランスが備わっています。プレゼンの際も「この色は〇〇という伝統色で、△△という意味を込めています」と説明できると、クライアントの納得度が飛躍的に高まります。

配色のアクセシビリティ(色のバリアフリー)

現代のデザインにおいて欠かせないのが「誰にとっても見やすいか」という視点です。

  • コントラスト比: 背景色と文字色の明度差が十分でないと、視覚に特性がある方や、屋外の明るい場所で画面を見る人にとって、情報は届きません。
  • 色覚の多様性: 特定の色(赤と緑など)が判別しにくい組み合わせを避け、形や質感(網掛けなど)でも情報を補足するのが、現代の「優しいデザイン」の標準です。

70:25:5の法則をあえて崩す「引き算の美学」

教科書通りの面積比(ベース70%:メイン25%:アクセント5%)は、あくまで「失敗しないための守りの型」です。 あえて真っ白な空間を90%使い、残り10%に鮮烈な主役カラーを置く。こうした「余白」を活かした配色は、情報の優先度を極限まで高め、アーティスティックで洗練された印象を与えます。「色を塗る」ことと同じくらい、「色を塗らない」ことも配色の重要な一部なのです。


まとめ:配色は「情報の整理整頓」である

デザインにおける配色は、単なるデコレーションではありません。それは、情報をどの順番で、どんな感情とともに読者に届けるかをコントロールする**「視覚的なナビゲーション」**です。

  1. 世界観(ジャンル)で色数を絞り込み、
  2. 各色に役割(主役・脇役・ゲスト)を与え、
  3. 情報の重要度に応じて配置(出番)を決める。

このプロセスを徹底するだけで、「なんとなく」の配色から卒業し、目的を達成するための「機能するデザイン」が作れるようになります。

まずは、あなたの好きなデザインを一つ手に取ってみてください。そして、「どれが主役で、誰が脇役を務めているのか?」を観察することから始めてみましょう。











参考動画:
428:ぱちぱちデザインChannelチャンネルの
配色で最初に決めるのは◯◯の色です。
↓下記URLから今回話題にした動画をご覧いただけます。
https://youtu.be/tBGAUC0rPF4?si=MSnZQxTiFsMoCzoM

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